🎒 10代・思春期のメンタルヘルス

10代・思春期のメンタルヘルスについて

10代・思春期のメンタルヘルスに関する記事(全2本)を1ページにまとめました。目次から気になる項目へジャンプできます。

このページでわかること

10代・思春期に多い悩みを4つのテーマに分けてまとめています。友だち関係とのつき合い方、自分の「タイプ」の知り方、感情や自信との向き合い方、そして大人との関係や深刻な悩みを抱えている場合の相談先まで、幅広く紹介します。SNSに関する記述は最新の利用実態に基づいています。

このページは、水島広子氏・本田秀夫氏の著書を参考にしながら、沖縄中央病院の臨床現場での経験も交えて構成しています。より詳しい内容は、各書籍(出典は本文末に記載)をご参照ください。

1. 友だち関係とのつき合い方

1-1. 距離感の悩み

「みんなと仲良く」よりも「自分が楽しく」を優先し、自分にとって心地よい距離感を探ることが大切です。

友だち関係の悩みの多くは、根本的に「自分を取り囲む今の人間関係に満足できていない」というところから生まれます。そこで「もっと友だちを増やそう」「もっと親しくなろう」と追い求めても、ないものねだりになってしまい、かえって苦しくなることがあります。

1-2. グループに入れない・雰囲気が合わないとき

場の雰囲気に気づきにくいタイプの人は、自分から周囲に具体的なフォローをお願いしてみるのも一つの方法です。

授業や行事で少人数のグループを組む時、うまく入れず最後まで残ってしまうという悩みを持つ人がいます。小学校低学年までは「みんなで仲良く」が基本ですが、高学年や思春期になると「気の合う友だちと遊びたい」という考え方に変わり、つき合いが「狭く深く」なっていきます。

1-3. 頼まれごとを引き受けすぎるとき

友だち関係は「お互い様」で成り立つもので、一方的にがんばりすぎているなら断ることも大切です。

「頼まれごとを断れない」「がんばりすぎてしまう」という悩みがあります。本人は「みんなの役に立ちたい」「自分ならできる」と思って引き受けますが、実際には限界を超えていて、睡眠不足になったり食欲が落ちたりと、ストレスで体調を崩してしまうことがあります。

1-4. 関係が途切れる・「運」の要素

誰と仲良くなるかは「運」で決まる部分も大きく、関係が途切れても自分を責める必要はありません。

「親友が学校を休むと心細くて早退したくなる」という悩みを持つ人がいます。一人でいるのがつらくてその場から逃げ出したいと思うのは、ある種の「自己防衛」であり、決して「弱い人間だ」と自分を責める必要はありません。

1-5. 陰口や悪口、SNSのストレスとどうつきあうか

陰口は言っている本人の不満の表れであり、SNS上のトラブルにも自分のペースを守って対応することが大切です。

クラスや部活などで陰口を言われているのではないかと気になり、悩むことがあります。しかし、陰口というのは対象となった人の悪口に聞こえますが、実際は陰口を言っている本人が自分の不満を発散しているだけです。

2. 自分の「タイプ」を知る

2-1. 「みんなと違う」という違和感の捉え方

「みんなと違う」という違和感は、実は自分らしさを知るための大きなチャンスでもあります。

10代の頃は、学校という集団生活の中でほかの人と自分を比べる機会が多く、どうしても自信を持つのが難しい時期です。「自分はダメだ」「みんなとは違う」と思い悩むこともあります。しかし、その「みんなと違う」という違和感の中には、自分らしさが隠れていることが多いです。

2-2. 得意・不得意との向き合い方

苦しい練習に耐えることだけが努力ではなく、不得意の克服より得意を伸ばす方が個性が際立ちます。

苦しい部活の練習などに耐えてきたのに、自分だけ力が伸びないと、「自分には才能がないのか」「無駄な努力をしているのか」と迷い、つらい思いをしてしまいます。しかし、苦しい練習に耐えることだけが「努力」ではありません。

2-3. 遅刻や忘れ物が多くて叱られる・宿題が終わらない

集中力に波があるタイプは、気合や根性ではなく仕組みで対処し、多少の失敗には開き直ることも大切です。

気をつけていても遅刻や忘れ物を繰り返し、親や先生に叱られて「自分はダメなやつだ」と自己否定的になってしまう悩みを持つ人がいます。しかし、「毎日必ず遅刻しているか?」「大切なものを全部忘れているか?」と振り返ると、ちゃんと間に合っている日や忘れない日もあるはずです。

2-4. 「普通」の相対性

「普通」は狭いコミュニティの中だけのルールに過ぎず、合わないと感じたら別のコミュニティを探してみましょう。

自分では普通にしているつもりなのに、友だちから「えっ?普通はこうでしょ」「ちょっと変だよ」とキツめに言われ、正解がわからなくなってしまう悩みをもつ場合があります。何を言っても否定される気がして、発言するたびにビクビクしてしまう人もいるでしょう。

2-5. 「自分は発達障害かも」と思ったら

発達障害は病気というより一つの「タイプ」であり、工夫や周囲への相談で困りごとは和らげられます。

忘れ物が多い、片付けが苦手などで悩み、ネットで調べるうちに「もしかして自分は発達障害かも」と不安になることがあるかもしれません。「障害」や「病気」という言葉を聞くと、一生このままなのかと怖くなる人もいるでしょう。

3. 感情と自信の整え方

3-1. 感情には役割がある

イヤな感情には自分を守る役割があり、感情を「使いよう」に扱えるようになることが折れない心につながります。

10代は子どもから大人になる大切な時期であり、体も心も大きく変わっていきます。これまでに経験してこなかったような出来事が起こり、どうしたらよいかわからなくなることもあります。この時期に「イヤな気持ち」の扱い方を学ぶことによって、失敗や試練に出会っても「折れない心」を育てることができます。

3-2. 怒っている人の見方

怒っている人は例外なく「困っている人」であり、そう捉えることで自分を責めずに済むようになります。

人から怒られたり、うるさく注意やアドバイスをされたりすると、頭にきたり傷ついたりして不愉快になるのが当然です。しかし、実は「怒っている人」というのは例外なく「困っている人」という見方があります。ものごとが自分にとってスムーズに進んでいれば人は腹を立てません。

3-3. 自信をなくした時

自信をなくした時のつらさは筋肉痛のようなもので、追い打ちをかけずにおさまるのを待つことが早い回復につながります。

人前での発表に失敗した時など、思わぬ時にショック(衝撃)を受けると、人は「もう傷つかないようにしよう」という防衛モードに入ります。その結果、自信を失い、今まで気にしていなかった自分の欠点ばかりが急に目につくようになります。

3-4. 他人と自分を比べてしまう・「縦の比較」

他人と比べる「横の比較」ではなく、過去の自分と比べる「縦の比較」で自分の成長を見る習慣をつけましょう。

話のおもしろい友だちやスタイルのいい人と自分を比べて、落ち込んでしまうという悩みがあります。しかし、他人と自分を比較して得られるものは何一つありません。他人と自分を比べる「横の比較」は、多くの場合自分に劣等感を植え付けるだけです。

3-5. 自信を持てるものがない・やりたいことがわからない

自信は「何をやったか」よりも「どのようにやったか」という生き方の姿勢から生まれるものです。

「自信を持てるものが何もない」「やりたいことがわからない」と将来に不安を抱く10代は多いです。しかし「痩せればいい」「おしゃれになれば」といった目に見える「成果」を求めても、折れやすい不安定な自信しか手に入りません。

3-6. 一人の時間とのバランス

友だちといつも一緒にいるのがしんどいと感じるのは自然な感情で、自分に合った一人の時間のバランスを探ってよいのです。

「一人ぼっちになりたくない」という思いから、なるべく誰かと一緒にいようと周りのノリに合わせていると、完全に気を抜いてリラックスできる時間がなくなり、心身ともにしんどくなります。どんなに仲のいい人が相手でも、一緒にいれば多少は気をつかうものです。

3-7. 「自分」を主語に話す

決めつけには決めつけで反発せず、「自分」を主語にして穏やかに伝えることで争いを避けられます。

「どうせ自分のことしか考えていない」「若いからいいかげんだ」など、一方的に決めつけてくる人に対しては、不愉快になり反抗したくなります。しかし、決めつけてくる人というのは、立ち止まって考える余裕のない「困っている人」なのです。

4. 大人との関係・深刻な悩みを抱えている人へ

4-1. 親へのモヤモヤ

親の口出しにも心配という理由があり、お互いの事情を理解し適切な距離を保つことが健全な関係につながります。

思春期になると、大人や親に対して「うざい」「干渉がうるさい」と抵抗を感じるようになるのは自然なことです。大人のもとで育ってきた子どもが、独立した別の大人の頭で考えようと試行錯誤している証拠です。一方で、親がうるさく口出ししてくるのにも理由があります。

4-2. 事情はそれぞれ違う

生まれ持った特性は自分では選べないものであり、それぞれに事情があると気づくと自分にも他人にも優しくなれます。

「人は○○であるべき」と言われて育つと、それを満たしていない人を「出来損ない」のように感じてしまうことがあります。また、自分自身も出来損ないの一人だと思い込んでしまう人も多いです。しかし、出来損ないの人間などいません。

4-3. いじめ・心の病気など深刻な問題をかかえている人へ

いじめや心の病気など深刻な問題は一人で抱え込まず、スクールカウンセラーなど信頼できる大人に相談することが大切です。

誰にでもある思春期のモヤモヤを超えて、いじめやリストカット、心の病気など深刻な事態に巻き込まれている人もいます。これらに直面した時は、自分の心が折れにくい考え方を知っておく必要があります。ほとんどのいじめは、いじめる側の心が病んでいて起こる現象です。

出典・参考文献

「10代からのメンタルケア「みんなと違う」自分を大切にする方法」

著者・発行元:本田秀夫 | 出版社:KADOKAWA | 発行年:2023

「10代のうちに知っておきたい折れない心の作り方」

著者・発行元:水島広子 | 出版社:紀伊國屋書店 | 発行年:2014

「令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」

著者・発行元:総務省情報通信政策研究所 | 出版社:総務省 | 発行年:2025

監修:久場禎三(沖縄中央病院 院長・精神科医/ラジオ番組「こころの架け橋」パーソナリティ)