🌱 自己肯定感・セルフケア
自己肯定感・セルフケアについて
自己肯定感・セルフケアに関する記事(全2本)を1ページにまとめました。目次から気になる項目へジャンプできます。
このページでわかること
頑張りすぎてしまう心のケアと、本当の自信の育て方について、4つのテーマに分けてまとめています。頑張りすぎのサインに気づくことから、感情とのつきあい方、衝撃を受けたときに心が立ち直っていく過程、そして日々の練習でできる自信の育て方まで、水島広子氏の著書2冊をもとに紹介します。
このページは、水島広子氏の著書を参考にしながら、沖縄中央病院の臨床現場での経験も交えて構成しています。より詳しい内容は、各書籍(出典は本文末に記載)をご参照ください。
1. 頑張りすぎのサインに気づく
1-1. 頑張りすぎになりやすい考え方
「頑張りすぎ」とは、どれほど頑張っても足りないと感じてしまう心のクセであり、まずそこに気づくことが第一歩です。
頑張りすぎて限界を感じている人は、これまでとにかく頑張ってきたという方が多いです。頑張らなければ、そこまで心がすり減ってしまうことはありません。頑張っていても形として成果が出ず、「自分の頑張りが足りなかったのだ」と感じる人も多いですが、まずはこれまで頑張ってきた自分をねぎらい、自分がベストを尽くしてきた結果が現状なのだというところから考え始めるとよいでしょう。
心が疲れきっていると感じる時は、生き方を変える時かもしれません。生き方を変えるといっても、さらに頑張るというよりも、もっと楽に、のびのびとできる考え方を身につけていくことが大切です。
心がすり減りやすい考え方には、自分の足りないところ探しをして頑張っている、何をやってもだめだと思いながら頑張っている、というパターンがあります。そう考えるとどんどんエネルギーを消費してしまいます。周囲から「頑張り過ぎだよ」「もう少し楽にしたら」と言われても、いい加減になってしまうようで手を抜けず、そもそも手の抜き方がわかりません。「頑張っても足りない」と感じて「さらに頑張る」心が自分を苦しめており、「頑張りすぎ」とは「どれほど頑張っても足りない」と感じてしまう心のクセなのです。
「頑張りすぎ」をやめるとは、足りないと感じる心を手放すということです。「足りないところ」探しは心のクセなので、まずはそこに気がつくことが第一歩です。足りないところ探しをやめるとエネルギーが湧いてきます。「今の自分にできるだけのことはやっている」「今の自分はこれでよいのだ」と思えると前進していきます。肩の力を抜くことは、本来の自分を取り戻す第一歩です。
1-2. 自分の限界のサインに気づく
「1人で対処しなければ」と抱え込んでいるときは、自分の限界に気づく大切な機会です。
自分の限界にはなかなか気づきにくいです。「1人で対処しなければならない」と考えたとき、完璧主義のため人に任せるより自分で完璧にやったほうが手っ取り早いと思って抱え込んだとき、「出口が見えない」と感じたとき――こうした瞬間は、自分の限界を感じる機会と捉えるとよいでしょう。
限界を超えて頑張っているとうつになって集中力が落ちることがあります。体調不良になるということは、結果として限界を知ることになり、自分を守る方向に働きます。「体調不良にでもならなかったら、この生き方を変えられなかっただろう」と思えるケースもよくあります。限界を受け入れることで、別の生き方を模索していくことになり、新たな人間的成長のきっかけとなることも多いです。
1-3. 心と体からのサインを読み取る
体は壊れる前に体調不良という形でサインを出してくれるので、そのサインに気づくことが大切です。
頑張り過ぎの人はよく「ほどほどに」「もっと楽に」と言われますが、まじめに生きようとしている人にとっては「怠けなさい」と言われているようで、その気になれず無理を続けてしまいます。しかし、自分の体のメンテナンスは自分にしかできないため、身体が壊れる前に対処することが大切です。
身体は壊れる前に様々な体調不良という形で悲鳴をあげるので、自分の身体のサインに気づくようにしましょう。心が疲れきっていると感じる状態は、自分を守るためのサインでもあります。
2. 感情とのつきあい方
2-1. 感情には意味がある
不安・怒り・悲しみといった感情には、それぞれ自分を守るための意味があります。
心がすり減っていると感じる時は、不安や怒り、悲しみを感じている状態であり、それぞれの感情には意味があります。不安を感じる時は「安全が確保されていない」という意味であり、怒りは「自分が困った状況におかれている」という意味です。
悲しみは、何かを失った時に内向きになり自分の心を立て直すという意味があるので、悲しい時は一定期間悲しむことが必要となります。このような自分の心と身体の変化に耳を傾けましょう。
2-2. 自分をいじめないという選択
「足りないところ探し」は自分へのいじめであり、まずは自分をいじめるのをやめることが回復への道です。
自分批判につながるようなポジティブ思考にならないようにしましょう。「どうして前向きに考えられないんだ」と自分を責める場合もあるため、無理にポジティブな考えになろうとしなくてよいでしょう。必要なのは、自分をいじめないことです。
「足りないところ探し」は「自分へのいじめ」でもあります。仕事や家庭の両立で忙しいときなど心が疲れきってしまいやすいですが、とどめを刺すのは自分自身の感じ方であることが多いです。職場や家庭に「迷惑をかけている」という気持ちなどから、無理に自分にムチを打って限界を超えてしまうこともあります。自分の限界を意識して常に余力を残すようにすることが大切ですが、「足りないところ探し」をしていると限界まで頑張って余力を残すことができなくなります。「自分の足りないところ探し」を「自分をいじめている」と意識し、自分に対するいじめをやめようと思っていくことが大切です。
2-3. 「自信がない」と「不安」を混同しない
「自信がない」と感じる気持ちの多くは、実は自然な感情である「不安」と混同されています。
「新しい職場でうまくやっていけるか自信がない」と感じる人は多いですが、実際に新しい職場でどうなるかはわからないものなので、そう感じるのも自然なことです。ここでいう「自信がない」は正確には「新しい職場でうまくやっていけるか不安だ」という表現になります。
不安は「安全が確保されていないこと」を知るための感情なので、新しい職場に対して「どんな仕事だろうか」「上司はどのような人だろうか」と不安になるのは、人間としてむしろ当たり前のサインです。不安という感情と自信のなさを混同しないことが大切で、不安に感じる自分をダメな自分と捉えるのではなく、「自分は新しい職場に対して不安を感じているのだな」「知らないことに対する不安があるのは仕方がないことだ」と考えると、「そんな状況の中で自分はちゃんと準備しているじゃないか」と自分をねぎらうことができ、自分についての良い感じを取り戻すことができます。
3. 衝撃から立ち直る
3-1. 衝撃を受けたときに起きていること
自信を失った状態を「衝撃への反応」として理解することが、回復への大切な一歩になります。
失敗して自信を失ってしまった時などは、心に衝撃を受けていると考えます。人の心はどんな衝撃からも立ち直る力を持っていますが、そのためには時間が必要です。いつまで経っても衝撃から立ち直れない場合は、回復が何らかの形で妨げられている可能性が高いです。
「もう二度と傷つきたくない」モードに入り警戒心が高まって傷つきそうな状況を回避するようになったり、「すべてが間違っていた」「自分はダメ人間だ」という自己否定が回復を妨げたりすることがあります。自信を失ってしまった状態を「衝撃への反応」と理解し、人間性を全否定されたように感じるのではなく「衝撃を受けるとだれでもこのような反応になる」と理解することが、回復には必要です。
衝撃からの回復目標は、根拠はなくても「きっと大丈夫だろう」という漠然とした安心感を取り戻すことです。通常は意識しなくてもこの感覚を持って暮らしていますが、恐怖感や不安感が強い場合には感覚がなくなり、日常の「今やらないといけないこと」に集中できなくなります。衝撃を受けたときは、「きっと大丈夫だろう」と思えていたはずのことが、実際にはそう思えなくなってしまうため、自信を失ってしまいます。「また失敗してしまうのでは」「周囲に迷惑をかけてしまうのでは」という不安が、仕事や家庭での適応を妨げ、生活の質を下げてしまいます。「自分の状態が『衝撃への反応』である」と認識することがとても役に立ちます。衝撃を受けたときは大変な思いをしているときなので、更に自分を責めて自分いじめをしないようにし、むしろ「今は大変なときなんだな」と自分をねぎらうようにしましょう。
心に衝撃を受けた時には「◯◯しておけばよかった」「自分がもう少し◯◯だったら」「こんなことは起こらなかったのに」と、時には自分が悪くないのに自分を責めてしまいます。しかし、自分を責める思いは回復の妨げとなり、「ダメな自分」という感覚は事実を見る目を歪めてしまいます。悲しい出来事から回復するには、人の心は手順を踏んでいくことが必要です。最初は事実を受け入れられず「信じられない」という気持ちから、「こんなはずではなかった」「もうおしまいだ」という絶望の気持ちへ、そして「現実として受け入れざるを得ない」という悲しみを受け入れるステップを踏んでいきます。この最後の「受け入れざるを得ない」というステップこそ、根拠はなくても「きっと大丈夫だろう」という漠然とした安心感に通じるものです。失ったことや悲しいことを認めた上で受け入れて、「仕方のなかったことだ」「次から気をつけよう」と思えるように、そのステップを踏んでいきます。
3-2. かたくなになった心をゆるめる方法
大切な人にかけるようなねぎらいの言葉を自分自身にもかけることが、心をほぐす助けになります。
安心して話せる相手が見つかれば何よりですが、それができず一人で考えないといけない場合もあります。そんな時は「もしも同じ事が大切な人に起こったとしたら、自分はどういう声かけをしてあげるだろうか」と考えてみましょう。
おそらく「仕方なかったよ」「辛かったね」とねぎらいの声をかけるはずで、そのようなねぎらいの言葉を自分自身にかけてあげるとよいでしょう。
自分に自信が持てない場合は、自分への優しい言葉もかけられません。自信というのは「自分についての良い感じ」なので、「自分を責めること」をやめて、根拠はなくても「きっと大丈夫だろう」という漠然とした安心感を取り戻すことが自信につながっていきます。心に衝撃を受けた時の回復の第一歩は、とにかく日常生活をいつも通りに生きることです。そしてリラックスできる時間を取り戻すことです。あまり先のことを考えすぎず、いまここでできるリラックスを心がけ、自分のこれまでの努力を認めつつ、小さな達成をコツコツ積み重ねていきましょう。
3-3. 自信を失いそうになったときの立て直し方
自信を失いそうになったときは、まず自分に対するやさしい気持ちを取り戻すことから態勢を立て直します。
「人にやさしくありたい」と思っていても、突然理不尽に怒鳴られてしまうと、相手を優しい目で見ることができなくなります。そんな時には、自分に対するやさしい気持ちを取り戻すところから態勢を立て直すようにしましょう。
「まあ、怒鳴られたときはショックを受けたからやさしい気持ちを持てないのは仕方がない」と自分をいたわるようにしましょう。そのうえで、「あんなに理不尽に怒鳴るなんて、よほどパニックになっていたに違いない」と相手に対する見方を選び直すこともできるかもしれません。すぐにそう思えなくても、「いずれは、このようなことがあっても『相手はパニックになっていたのだから仕方ない』と思えるようになりたいな」と思うだけでも、心の衝撃は軽くなります。本当の自信「自分に対する良い感じ」を持っていれば、たとえうまくできなかったとしても、次の瞬間には前の失敗を手放し、「自分はこういう心のあり方で生きていきたい」という考えを選ぶことができます。
3-4. なぜ人は自信を失うのか
自信がある人でも、心に衝撃を受けたときには自信を強く失うことがあります。
どんなに自分に対してよい感じを持っていても、時には「自信を失った」と強烈に感じてしまう瞬間があります。それは心に衝撃を受けたときで、日ごろから自信がない人は衝撃を受けやすく影響も大きい傾向がある一方、自分に対する良い感じを持っている人であれば衝撃からの回復も早いです。
衝撃を受けたときの詳しい仕組みや回復のプロセスについては、「感情には意味がある」「衝撃を受けたときに起きていること」で詳しく紹介しています。
4. 本当の自信を育てる
4-1. 自信があるってどういうこと
本当の自信とは、何かができるスキルではなく、自分という存在に対する無条件の肯定感のことです。
この本で紹介される自信とは、「◯◯(仕事、特技)ができる」といった何かのスキルのことではなく、自己肯定感や自尊心と呼ばれる、自分という存在に対する無条件の肯定感のことです。心の底にある、なんとなく「自分はこれでよいだろう」という、根拠はなくてもきっと大丈夫だろうという漠然とした安心感のことで、この気持ちを持っていると、何かあったときに「自分はだめな人間だ」といった気持ちにならないため、ストレスを感じても自分らしく生活することができます。
その結果、質の高い人生を送ることができるとされています。本当の自信を手に入れられると、それまで「自分はだめだ」と思っていた人が、実は自分は大変な環境の中でよく頑張っていたんだと気づき、自分で自分をねぎらうことができるようになります。何か人に自慢できるものやできることがなくても、自分の心のあり方によって自信を感じられるということが学べる図書です。
一般的に使われている「自信がある」とは、「自分は英語には自信がある」といったように、自分の能力によって何かができるときに使われることが多いです。ただしこのような自信は、状況が変わってできなくなると失いやすいです。一方「自信がない」というのは、慣れていないことへの不安を感じている場合と、生きていくうえで「なんとなく自信がない」といった漠然とした不安のパターンがあります。漠然とした自信のなさは、「自分はこのままでいいのだろうか」「自分には何かが足りないのではないか」といったぼんやりとしているが、より本質的な不安であり、人間としての価値が低いように感じていることが多いです。自分には価値がないと感じていれば、何事にも自信を持って臨むことができないし、たとえ何かを成し遂げたとしても悪い面ばかり気になって、うまくいったとは思えません。この本では、何かができること・できたことによる自信ではなく、心のあり方による自信を手に入れることを重要視しています。
4-2. 心のあり方としての自信とは
「するべき」ではなく「したい」という考え方が、状況に左右されない心のあり方としての自信を育てます。
何かができるという自信は状況に左右されるし、常に何かを達成し続けないと失ってしまうかもしれません。この本で強調されているのは、心のあり方としての自信であり、「自分はこれでよいだろう」という、根拠はなくてもきっと大丈夫だろうという漠然とした安心感を持つことです。
考え方としては、「するべき」ではなく「◯◯したい」という考え方が推奨されます。「常にやさしくあるべき」「常に冷静でいるべき」などの「◯◯すべき」という考え方では、自分はちゃんとできているかと厳しい目で自分を見てしまいます。
そこで「できるだけ◯◯したい」という考え方を心がけましょう。「できるだけ優しくしたい」「できるだけ冷静でいたい」という考え方になり、この「できるだけ」という気持ちが自分への肯定感を与えてくれます。心のあり方としての自信が感じられるようになると、何ができて何ができていないかという状況に左右されにくくなっていきます。「こうありたい」という気持ちは状況に左右されない安定性があるので、結果として強さを持てるようになります。
4-3. 自信はつけるものではなく感じるもの
自信は積み上げるものではなく、「今、ここで」その都度感じるものです。
本当の自信とは自分についての良い感じがすることですが、だからといって「私はこんなに優れた人間だ」と感じる必要はありません。本当の自信とは自分に対する安心感であり、なんとなくでもよいので「自分はこれでよいのだ」という考えを持っておきましょう。
そうであれば、一人でいても、誰からも評価されなくても、安定した暖かい気持ちになれます。よく「自信をつける」という言い方をされ、まるで筋肉のようにつけることができると思われていますが、実はそうではありません。自信は、その場その場、「今、ここで」リアルタイムで感じるものです。自信を感じられるようになるには、「完璧にしたい」気持ちを手放し、「完璧にする」という選択肢を外しておくことがポイントです。本当の自信のイメージは完璧に固いものではなく、風に揺れる竹やヤシの木のようなものです。強く風が吹くとしなりますが、折れるわけでなく戻っていきます。うまくできていない自分に気がついたら、しなやかな木のように態勢を立て直そうと思えばよいでしょう。
4-4. 日々の練習でできること
目の前のことに意識を向ける、完璧という物差しをおろすなど、日ごろから実践できる6つの練習で自信の感じ方を育てられます。
自信を感じられるように、日ごろから練習することが推奨されています。1つ目は「目の前のことに意識を向ける」ことです。どんな人でも何かに集中している時には、余計なことを考えず没頭した感覚になったことがあるはずです。
集中している時には過去のことをくよくよ考えたり「自分はだめなのではないか」と考えたりすることはなく、今に集中しているときは自分の能力が最大限に発揮されるので「自分についての感じ方」も自然によくなります。
2つ目は「『完璧』という物差しをおろす」ことです。完璧を目指してしまうと常に自分に対して批判的な目を向けてしまい、完璧を目指している限り自分に対する良い感じが持てません。また完璧を目指す気持ちは、目の前のことに意識を向けることを妨げてしまいます。3つ目は「自分がどうありたいかを言葉にする」ことです。「私は◯◯風になりたい」「◯◯でありたい」「◯◯したい」――例えば「仕事を誠実に頑張りたい」「家族や友人と楽しく過ごしたい」「一人の時間を有意義に使いたい」など。このような考え方は、たとえ結果が出ていなくても、自分がそうありたい、そこに向かっていると思えるので、自分が頑張っているように感じられます。
4つ目は「一歩をできるだけ小さくする」ことです。何か大きな仕事に取りかかる場合、不安を感じるのは当然の反応です。その中で自信を感じるためには「未来の不安」を考えるのではなく「目の前のことに意識を向けること」です。未来の結果を考えると常に不安になるため、だいたいの計画を立てて「今、手をつけること」を決め、一歩を小さくしてそれを積み重ねます。5つ目は「相手の側から見てみる」ことです。人前で話すときに緊張する、自信がないという話もよくありますが、自分がうまくできるかというところに意識が向くともっと緊張してしまいます。「相手はわかっているだろうか」「相手は話についてきているだろうか」という視点を持って、自分ではなく相手を見るとよいでしょう。
6つ目は「『価値があるか』ではなく『何を大切にしたいか』で考える」ことです。自信のない人は、自分には価値があるのだろうかと自問自答していることがありますが、自分に価値があるのかという考えをしている限り、自信を感じることはできません。本当の自信を感じたければ、「自分の価値」を考えるのではなく、「自分が何に価値を置きたいのか」という視点を持ってみましょう。「自分の価値」から「自分が価値を置くもの」に視点を移すということです。
出典・参考文献
「「心がボロボロ」がスーッと楽になる本」
「小さなことに左右されない「本当の自信」を手に入れる9つのステップ」