🌥️ うつ病

うつ病について

うつ病に関する記事(全3本)を1ページにまとめました。目次から気になる項目へジャンプできます。

このページでわかること

うつ病は、日常生活が送れなくなるほどの気分の落ち込みと意欲の低下が2週間以上続く病気で、生物学的・心理的・環境的な要因が絡み合って発症します。治療は休養・薬物療法・精神療法を組み合わせて行い、軽症でもしっかり治療することが重症化の予防につながります。家族の対応の仕方や、治りにくい場合の考え方、日常生活での工夫についてもあわせて紹介しています。

1. うつ病について

1-1. うつ病とはどんな病気?

うつ病は、日常生活が送れなくなるほどの気分の落ち込みと意欲の低下が2週間以上続く状態で、15人に1人ほどが経験する決して珍しくない病気です。

うつ病とは、「日常生活ができなくなるくらいの気分の落ち込み」と「意欲の低下」が2週間以上続いた状態です。気分の落ち込みや意欲の低下自体は誰でも経験しますが、うつ病では、仕事や学校に行けなくなったり、家事ができなくなったりするほどの程度に達することがポイントです。

1-2. 健康な「憂うつ」とうつ病の違い

健康な「憂うつ」は時間が経てば元に戻りますが、うつ病では元に戻らずますます気力が落ちていく悪循環に陥ります。

気分が落ち込むこと自体は、誰にでも起こる自然な反応です。ショックな出来事やストレスにさらされれば、気持ちが沈んだり、やる気が出なくなったりするのは当然のことで、そうした変化があるからこそ、自分が苦しい状況に置かれていると気づくことができます。

1-3. うつ病の症状

気分の落ち込みや意欲低下に加え、自分を責める気持ちや消えたい・死にたいという気持ちが2週間以上続く場合はうつ病の可能性が高いといえます。

うつ病では、次のような症状がみられます。

1-4. なぜうつ病になるのか

生物学的・心理的・環境的という3つの要因が複雑にからみあい、ストレスと睡眠不足の悪循環を通じて発症すると考えられています。

うつ病は、生物学的要因・心理的要因・環境的要因という3つの要因が複雑にからみあって発症すると考えられています。

1-5. うつ病の重症度と診断

診断には5つ以上の症状が2週間続くことが目安となり、軽症・中等症・重症の見極めが治療方針を左右します。

診断では、毎日1日中、抑うつ気分・興味関心の低下・体重減少や食欲低下・不眠・焦燥感や思考制止・疲労感・無価値感や罪責感・集中力低下・自殺念慮などの症状のうち5つ以上が2週間続いていることが目安となります。まず「うつ状態」と「うつ病」は必ずしも同じではなく、体の病気や薬・物質によってうつ状態が引き起こされることもあるため、本当にうつ病かどうかを主治医と一緒に見極めることが最初のステップです。

1-6. 治療について

治療は休養・薬物療法・精神療法(支持的精神療法や心理教育、認知行動療法など)を組み合わせて行い、抗うつ薬は原則1種類を十分量まで用いるのが基本です。

うつ病の治療は、大きく分けて「休養」「お薬(薬物療法)」「精神療法(カウンセリングなど)」の組み合わせで行われます。急性期はまず休むことが大切で、そのうえで治療薬を一定期間飲み続けます。軽症の場合や回復期には、物事の受け止め方に焦点をあてて気分が落ち込みやすい考え方を修正し、行動面を変えていく認知行動療法も有効です。

1-7. 回復までの経過とリハビリ

回復には数ヶ月〜数年かかることもあり、休養期を経てリハビリ期に移行しながら、元に戻るというより柔軟な考え方を身につけていくことが大切です。

うつ病の回復過程は、1〜2ヶ月で済むこともあれば、1年から数年以上かかる場合もあります。症状が重い時期や動けない時期はしっかり休むことが必要な時期であり、その間はお薬の調整を行います。1週間のうち数日動けるようになってきたらリハビリ期に入り、外出したり人と会ったり、仕事のことを少しずつ思い出したりしながら過ごします。

1-8. 家族との向き合い方

傾聴・共感・理解・受容・支持を基本に、励ましや気分転換の強要を避け、温かい距離感を保つことが回復を支えます。

家族がうつ病になったときは、まず「うつ病になった」という事実を受け入れることが出発点です。つらそうな家族を見て不安になるのは当然の反応ですが、不安に駆られて叱咤激励したり叱ったりせず、家族自身がどっしりと構え、適度に息抜きをすることも大切です。

1-9. 治りにくいうつ病・特殊なケースについて

双極性障害や他の疾患の併存、精神病症状を伴うケース、妊娠中・若年者・高齢者など、特別な配慮が必要な場合があります。

慢性うつ病の方でも、数年以上お薬を調整したり、集団の認知行動療法などのリハビリを何ヶ月も続けたりすることで良くなった方が多くいます。治りにくいうつ病の中には、実は双極性障害だったというケースもあり、双極性障害としての治療に切り替えて良くなった方もいます。

1-10. 日常生活でできる工夫

運動や栄養バランスを整えることに加え、回復した当事者が実践した10の対処法なども、日常生活での工夫として参考になります。

うつ病の治療において、運動や栄養の重要性も示されてきています。運動については、有酸素運動がうつ病に効果があるとする研究があり、軽症うつ病では運動療法にも触れられています。週に3回以上、軽く息が弾む程度のウォーキングやゆっくりとしたジョギングを30分以上続けることが目安とされています。

出典・参考文献

「対人関係療法でなおす うつ病 -病気の理解から対処法、ケアのポイントまで-」

著者・発行元:水島広子 | 出版社:創元社 | 発行年:2009

「当事者・家族のためのわかりやすいうつ病治療ガイド」

著者・発行元:日本うつ病学会 当事者のためのガイド小委員会 | 出版社:認定特定非営利活動法人 地域精神保健福祉機構(コンボ) | 発行年:2022

「うつと仕事のQ&A」

著者・発行元:うつ病リワーク研究会 | 出版社:うつ病リワーク研究会 | 発行年:2015

関連Q&A

以下のQ&Aは、うつ病リワーク研究会『うつと仕事のQ&A』(2015年)を参考に構成しています。

Q「新型うつ」とは何か。従来のうつ病との違いや対処法は?

A「新型うつ」はマスコミ用語であり医学用語ではない。若年者に多く軽症、仕事では抑うつ的だが余暇は楽しめる、就業・就学のストレスで発症、成熟度の低さ等の病前性格が特徴とされる。医療現場では特別扱いせず、薬物療法に加え生活習慣や対人関係、病者としての振る舞いについてのアドバイスを行う。

Qうつ病かどうかを判断する簡単な目安は?

A自分でうつ病と気づけないほど症状が重い場合は重症の可能性がある。不眠、原因のない不安、集中力低下、食欲低下、疲れやすさ、自分を責める気持ち、死にたい気持ちなどがあれば迷わず受診を勧める。

Qうつ病の薬はいつまで飲み続ける必要があるか?

Aうつ病は再発しやすく、再発するほど再発率が高くなるため再発予防が重要。初発の場合は症状改善後も半年〜1年は内服継続を、再発を繰り返す場合は薬物療法に加え規則正しい生活・バランスの良い食事・良質な睡眠・節酒・適度な運動・日光浴を実践するとよい。

Q(金曜・北谷町)暗いニュースで気持ちが沈み、初期のうつ症状と診断されたが「このくらいで?」と受け入れられない。どうしたらよいか?

A健康な人の「憂うつ」は一時的でストレスの原因が去れば和らぐが、うつ病は気分の落ち込みや意欲低下が2週間以上続き改善しないという違いがある。診断に疑問があればまず主治医に確認し、それでも解消しなければセカンドオピニオンも検討するとよい。

Q「健康な人のゆううつ」と「うつ病」の違いは何でしょうか?

A健康な人の「ゆううつ」はストレスがかかった時に感じる一時的な辛い感情で、原因から離れたり楽しいことがあれば和らぐ。うつ病は病気であり、気分の落ち込みや興味・意欲の喪失が2週間以上続き、原因から離れても改善せず、不眠等の身体症状を伴うことも多い。

Q心療内科、精神科に行くことに抵抗があります。どうしたらよいか?

A精神科への抵抗を感じるのは自然なこと。この10年でクリニックの数も増え、軽い症状でも早めに受診し治療を受ける人が増えている。治療によりつらい症状を和らげ日常生活への支障を軽減できるので、家族と一緒に受診するなどの方法も勧められる。

Qうつ病とはどのような病気か(診断基準・発症の悪循環)?

A「当事者・家族のためのわかりやすいうつ病治療ガイド」によれば、抑うつ気分・興味関心の低下・体重減少や食欲低下・不眠・焦燥感や思考制止・疲労感・無価値感や罪責感・集中力低下・自殺念慮などの症状が5つ以上、2週間続くことが診断の目安。ストレスと睡眠不足、否定的な物事の見方が悪循環を形成して発症するとされ、周囲は励ましや気分転換の強要を避け、つらさを共感的に聞くことが望ましい。

Q治療のため休職することになりました。休む際に注意しておくことはありますか?

Aまず会社の上司に診断書を提出し、医師から伝えられた休職期間などを伝える。総務や人事課で休職期間の規定や傷病手当申請のやり方を確認し、規定の休職期間を主治医にも伝えて治療計画に入れてもらうとよい。

Q休職中はどのように過ごせばよいでしょうか。やってはいけないことはありますか?

A主治医の指示通りに服薬を続けながら、まずはしっかり休むことが基本です。並行して、生活のリズムを整えることや、自分がかかっている病気・治療について理解を深めておくことも回復の助けになります。旅行や徹夜のような体への負担が大きい行動は控え、お酒も薬の効き目に影響するため避けたほうがよいでしょう。

Q休職中、生活リズムを整えることにはどんな意味がありますか?チェックポイントはありますか?

A睡眠・食事・排泄のタイミングが毎日ほぼ同じ時間に落ち着いてくると、体内時計が整ってきた証拠です。同じころに眠気を感じる、目覚まし要らずに起きられる、空腹感や便意が規則的に来る、といった変化が見られれば、生活リズムが安定してきたサインといえます。この安定は復職の判断材料の一つにもなります。

Q休職中に旅行や友人との付き合いはしてもよいでしょうか?

A外出や人と会うことは気分転換になる一方で、思っている以上に体力を使い、疲れが症状の悪化につながることもあります。判断に迷うときは主治医に相談しましょう。また、休職中の外出や旅行が職場に伝わり、誤解を招いてしまうこともあるため、療養が最優先であることを忘れずに、無理のない範囲にとどめておくのが安全です。

Qどのような状態になれば復職が可能となりますか?

A目安となるのは、主治医と産業医の双方が「通常の勤務、あるいは段階的なリハビリ勤務であればこなせる」と判断できるレベルまで回復しているかどうかです。具体的には、仕事があるときと同じ生活リズムを保てている、読書などである程度まとまった時間集中できる、実際に通勤ルートを試してみて問題がない、といった点が確認の目安になります。

Q復職が決まりましたが、フルタイムで働く自信がありません。どうしたらよいですか?

Aいきなりフルタイムを目指す必要はありません。主治医や産業医、人事担当者、上司を交えて、負担の少ない復帰の仕方を相談してみましょう。事前にリハビリ勤務や通勤の練習をしておくと、少しずつ自信を取り戻しやすくなります。復帰後も、最初は時短勤務から始めて段階的にフルタイムへ移行するほうが、結果的にうまくいくことが多いです。

Q復職後、薬を飲み続けることに抵抗があります。いつまで治療は続くのでしょうか?

A主治医が復職を許可したとしても、それは病気が完全に治ったという意味ではなく、治療を続けながら仕事もできる段階に来た、ということを示しているにすぎません。復職後もそのまま薬による治療を続ける方は珍しくなく、服薬について迷いがあれば、その都度主治医に相談しながら治療を続けていくことが大切です。

Q復職後、また再休職するのではないかと不安です。どのような点に気をつければよいでしょうか?

A病気について正しく理解しておくことが、まず土台になります。そのうえで、前回休職に至った経緯や当時の症状を振り返り、自分なりの変化のサインに気づけるようにしておくとよいでしょう。復職後も自分の状態をこまめにチェックし、無理をせず、体調の変化を早めにキャッチして対処する習慣を続けることが大切です。復職後に再び休職に至るケースは少なくないとされ、再発を重ねるほどそのリスクも高まるため、予防的な意識を持ち続けることが重要です。

監修:久場禎三(沖縄中央病院 院長・精神科医/ラジオ番組「こころの架け橋」パーソナリティ)