💬 コミュニケーション・自己表現(アサーション等)

コミュニケーション・自己表現(アサーション等)について

コミュニケーション・自己表現(アサーション等)に関する記事(全3本)を1ページにまとめました。目次から気になる項目へジャンプできます。

このページでわかること

自分も相手も大切にする自己表現の技法「アサーション」について、4つのテーマに分けてまとめています。自己表現の基本を知ることから、伝え方のコツ、怒りの伝え方、そして聴く力と自然なコミュニケーションまで、3冊の書籍をもとに紹介します。

このページは、平木典子氏・森田汐生氏・水島広子氏の著書を参考にしながら、沖縄中央病院の臨床現場での経験も交えて構成しています。より詳しい内容は、各書籍(出典は本文末に記載)をご参照ください。

1. 自己表現の基本を知る

1-1. アサーションとは

アサーションとは、自分も相手も傷つけずに自分の思いを率直に表現する技法です。

自己表現の「アサーション」といいますが、あまり聞きなれない言葉かもしれません。しかし、日常生活の中や職場、友人との過ごし方など、自分の生活の中で自己表現はかなり大きな比重を占めている大切な概念です。自分も相手も傷つけずに自己表現するのはとても難しいです。

1-2. アサーション度をチェックしてみよう

10個の質問に「いいえ」が5つ以上あれば、自己表現が苦手なタイプといえます。

以下のような質問に対して「いいえ」が多いと、アサーション度が低いとされています。

1-3. アサーティブな表現とは・3つのパターン

自己表現には「ノンアサーティブ」「アグレッシブ」「アサーティブ」の3つのパターンがあります。

自己表現には大きく分けて3つのパターンがあります。自分よりも他人を優先し自分のことを後回しにする「ノンアサーティブ(非主張的)」、自分のことだけを考えて他者の気持ちを考えない「アグレッシブ(攻撃的)」、そして両者の中間で自分のことをまず考えるが他者の気持ちにも配慮する「アサーティブ(適切な自己表現)」の3つです。

1-4. アサーティブになるためのヒント

自信のなさや「断ってはいけない」といった思い込みに気づくことが、アサーティブになる第一歩です。

アサーティブな自己表現が苦手な人には、いくつかの共通した特徴があります。まず自分の気持ちが把握できておらず、自分の言いたいことがもやもやしてどう思っているのかわかりません。また、結果や周囲の目を気にし過ぎて、失敗を恐れすぎるとアサーティブになれません。

1-5. 私たちに認められている権利

私たちには尊重される権利、過ちをおかす権利、そして自己主張しない権利まで、5つの権利が認められています。

アサーティブが苦手な人のために、私たち一人ひとりに本来認められている権利という考え方が紹介されています。

2. 伝え方のコツ

2-1. 気持ちが伝わる話し方とは

同じ内容でも伝え方によって伝わり方は大きく変わり、アサーティブな話し方を身につけることが人間関係を円滑にします。

「アサーティブ」「アサーティブネス」というのがキーワードで、これは「相手も自分も傷つけない話し方」のことです。人は誰かに何かを要求するときや、逆に要求された時、言い方によって傷つくことが多いです。例えば共働きの夫婦で、二人とも遅く帰宅し家事がたまっているとします。

2-2. コミュニケーションの難しさ

あいまいさを良しとする日本の文化が、率直なコミュニケーションを難しくしている一因と考えられています。

人間関係には、相手にとって耳の痛いことを伝えなければならないこともたくさんあります。現在ではLINEやチャットツールなどで、直接言わずに済ませることもあるかもしれません。職場では嫌な人や話の通じない苦手な人ともつきあいを続けなければなりません。

2-3. 相手に届く伝え方

一方的にならず、相手の状況を確認しながら一緒に問題を解決する姿勢が、伝え方の基本です。

アサーティブな伝え方とは、まず一方的にならないように気をつけ、自分が伝えたいことをシンプルに具体的にわかりやすく伝えたうえで、相手はどう思ったか、相手の状況を確認しながら一緒に問題を解決することを心がけるものです。例えば、後輩や部下の仕事が滞っており、それを促す場合を考えてみましょう。

2-4. 伝え方を支える4つの視点・Iメッセージ

「誠実」「率直」「対等」「自己責任」の4つを軸に、「私」を主語にしたIメッセージで伝えることが基本です。

コミュニケーションでは、伝える内容よりも話す人の態度や真剣さ・一生懸命さが相手の心を動かしていることがよくあります。そのためアサーティブネスには「誠実」「率直」「対等」「自己責任」という4つのキーワードがあります。

2-5. アサーティブネスの基本テクニック

最初のひと言を真剣に伝え、語尾まではっきり言い切ることが、アサーティブな話し方のコツです。

最初のひと言では「とても大切な話があるので聞いてほしい」と真剣に伝えます。真顔で言うことで相手の聞く態度も変わってきます。語尾に気をつけ、自分の発言の最後まではっきりと言い、「これをしてほしいんだけど…」のように語尾が消えるような表現はしないようにしましょう。

2-6. 言葉以外のアサーション

視線や表情、声のトーンなど、言葉以外の要素もアサーションの大切な一部です。

アサーションには言葉以外の要素もあります。視覚的なものとしては、視線や表情、身振り手振りがあり、不愉快なことをされたら不愉快であるという合図を出してもよいし、相手の話を聞いているときはうなずいたり相槌を打ったりして聞いている合図を出すとよいでしょう。

2-7. 態度と声のトーンを一致させる

言葉だけでなく態度や声のトーンを一致させることが、気持ちを正確に伝えるために重要です。

言葉以外の態度もとても重要です。アメリカの心理学者メラビアンによる、いわゆる「メラビアンの法則」では、メッセージを受け取る人は、表情や態度を重視する人が55%、声の調子を重視する人が38%、話の中身を重視する人が7%という結果が紹介されており、非言語の部分が重要であることがうかがえます。

3. 怒りの伝え方

3-1. Iメッセージで伝える怒りの表現

怒りは「私」を主語にしたIメッセージで伝えることで、相手を責めずに気持ちを届けられます。

アサーティブな自己表現の中でも、怒りを表現するのはとても難しいです。怒りの表現というと、腹を立てて怒鳴ったり相手を責めたりする激怒のイメージがありますが、怒りにも程度があり、その程度に合った表現方法があります。

4. 聴く力と自然なコミュニケーション

4-1. 対人関係療法とコミュニケーション

対人関係療法の考え方に基づき、自分の役割と相手からの期待のズレを調整することがコミュニケーション改善の鍵です。

対人関係療法の専門家である水島広子氏の著書です。対人関係療法とは、元来は対人関係のストレスに対処することでうつ病を治していくという治療法ですが、現在ではうつ病だけでなく、さまざまなストレスに対処する方法として広められています。

4-2. コミュニケーション力とは

会話を盛り上げる必要はなく、自分らしいコミュニケーションの仕方を身につければ十分です。

コミュニケーション上手といえば、会話を盛り上げてその中心にいるようなイメージがありますが、必ずしもそうではありません。盛り上げるタイプ、反応が良い人、聞き上手な人、穏やかにその場にいれる人、人との会話にあまり興味がない人など、様々なタイプの人がいます。

4-3. 「話す力」を身につける

うまく話そうとせず、沈黙を恐れないことが「話す力」の基本です。

まずは「うまく話さなくてもよい」「沈黙を共有してもよい」と思いましょう。沈黙が怖くて焦ったりせず、落ち着いていられるようになることが話す力の基本です。コミュニケーションには常に相手がいることを意識しましょう。

4-4. 話を受けとめる力を育てる

落ち着いて話を聞いてもらえるという安心感は、アドバイスよりも問題解決に役立つことがあります。

話を受けとめるうえで重要なのは、落ち着いて話を聞いてもらえるという安心感が、話す側を支えるということです。聴くことは問題解決にも影響します。相手の話を丁寧に聞いていると、相手は落ち着いて話せる環境の中で、自分で気づきを得たり、消化できなかった感情を消化したりすることができます。

4-5. 自然なコミュニケーションをしよう

誰とでもうまく会話しようとせず、自分と相手の関係性に応じた自然な距離感で構いません。

初対面や久しぶりの人と会う時に緊張するのは自然なことです。自然なコミュニケーションとは必ずしも「仲よさげに振る舞う」ことではなく、自分と相手の関係性によって変化するものであり、自分の特徴を説明できることもコミュニケーション力のひとつです。

4-6. 話すことが苦手な人へ

話すのが苦手なら「聴くこと」に集中する方が自然体でいられます。

話を受けとめる力を育てることが大切だとお伝えしたように、丁寧に話を聴くことは、落ち着いて話を聞いてもらえるという安心感を相手に届けることでもあります。「聴くこと」に集中すると自然体でいやすく、話すことが苦手な人は相手の話を「聴くこと」に集中する方が自然であり、それを伝えるのも上手なコミュニケーションのひとつといえます。

4-7. ストレスフルなコミュニケーションへの対処

愚痴や上から目線の相手には、相手の考えを自分の領域に入れずに受け流す工夫が役立ちます。

愚痴ばかり聞かされて疲れてしまうときは、話を聞きながら、頭に浮かんだ意見はいったん横に置きながら聴くという方法が勧められています。「ああしたほうがよい」といったことは考えず、「この人はこう思っているのだな」くらいで話を聴き、相手が嫌な体験をしたという部分に共感して「それは大変だったね」と相づちを打てば、共感していることは伝わります。

4-8. 自分の思いが伝わるコミュニケーション(断り方・謝り方)

断るときは自分側の事情を誠実に伝え、怒らせてしまったときはまず謝ることが基本です。

相手に「ノー」と断りたいですが、相手を傷つけてしまうのが怖くて断れないという場合、相手の言い分に対して直接「ノー」を言わず、「本当はやりたいけど、自分側の事情でできない」ということを誠実に伝える方法が推奨されています。仕事の依頼であれば「今の自分には余裕(あるいは能力)がなくてできない。

4-9. 集団でのコミュニケーション

グループの中では無理に話に割り込まず、うなずきや相づちだけでも十分に参加できます。

グループでのやりとりをスムーズにしたい人、大勢の前で緊張してしまう人、どのタイミングで入っていったらよいのかわからないという人も多いです。自分が話す場合は「自分はどう思われているのか」「ちゃんと話せているのか」と自分に意識を向けるのではなく、「伝わっているか」と一人ひとりにアイコンタクトをするつもりで話すとよいでしょう。

出典・参考文献

「改訂版 アサーション・トレーニング―さやかな〈自己表現〉のために―」

著者・発行元:平木典子 | 出版社:日本・精神技術研究所(発売元:金子書房) | 発行年:2009

「気持ちが伝わる話しかた」

著者・発行元:森田汐生 | 出版社:主婦の友社 | 発行年:2010

「対人関係療法のプロが教える 誰と一緒でも疲れない「聴き方・話し方」のコツ」

著者・発行元:水島広子 | 出版社:日本実業出版社 | 発行年:2014

監修:久場禎三(沖縄中央病院 院長・精神科医/ラジオ番組「こころの架け橋」パーソナリティ)