🧯 アンガーマネジメント

アンガーマネジメントについて

アンガーマネジメントに関する記事(全2本)を1ページにまとめました。目次から気になる項目へジャンプできます。

このページでわかること

怒りという感情との付き合い方を4つのテーマに分けてまとめています。怒りの正体を知ることから、怒りの背景にある考え方の見つめ直し方、怒りを鎮めてうまく伝える実践法、そして周囲の人ができる対応まで、ADHDの特性を踏まえた工夫もあわせて紹介します。

このページは、水島広子氏・高山恵子氏の著書を参考にしながら、沖縄中央病院の臨床現場での経験も交えて構成しています。より詳しい内容は、各書籍(出典は本文末に記載)をご参照ください。

1. 怒りの正体を知る

1-1. ムカッとすることは、だめなことではない

怒りは自分を守るための自然な感情であり、まずはその役割を知ることが怒りをコントロールする第一歩です。

「つまらないことでムカついてしまう」「ついイライラしてしまう」「自分の怒りがコントロールできない」――こうした「怒りにコントロールされてしまっている」状況から抜け出したい方に向けた一冊です。「本当は冷静でいたいのに」「本当はやさしくしたいのに」というときは、自分の行動が怒りにコントロールされてしまっている状態です。

1-2. 腹が立ってしまう理由

腹が立つ理由の多くは「予定が狂った場合」と「心が傷ついたとき」の2つに分けられます。

腹が立つ理由の一つは「予定が狂った場合」です。あとで食べようと冷蔵庫に入れておいたデザートが家族に食べられていた、買い替えたばかりの携帯がすぐ壊れた、といった場合は、瞬間的に「やられた」と防衛反応として怒りが出ます。

1-3. ADHDと怒りの関係

ADHDの衝動性の特性から、怒りをコントロールしづらいと感じる人がいます。

ADHD(注意欠如・多動性障害)は発達障害の1つで、子どもの頃から症状が現れ、大人になっても残ることがよくみられます。注意の持続困難(不注意)、活動性の高さ(多動性)、強い衝動性という3つの主症状のうち、いずれかが現れるのがADHDであり、12歳までに症状が明らかとなります。

1-4. ADHDの特性と怒りやすさ

衝動性の強さによって、他人を怒らせやすくなったり自分自身が怒りっぽくなったりすることがあります。

ADHDの人すべてが怒りのコントロールができないわけではありません。ADHDの特性には不注意・多動・衝動性があり個人差がありますが、衝動性の特徴が強いと怒りのコントロールが難しい場合があります。思いついたらすぐ行動してしまうため周囲の反発を招きやすく、対人関係の構築が難しい場合もあります。

2. 怒りの背景にある考え方を見つめ直す

2-1. 「本当に被害はあるのか」を考える

「本当に被害にあっているのか」を考え直してみると、怒る必要がなくなることも少なくありません。

怒った原因を取り除くだけでなく、「そもそもその原因は怒りの対象となるのか」をよく考えてみることが、いわゆる「受け止め方を変える」ということです。自分は本当に被害にあっているのかをよく考えてみるとよいでしょう。

2-2. 「期待していたこと」とのズレに気づく

怒りの背景には、知らず知らずのうちに相手に期待していることとのズレがあります。

怒りは対人関係の中で出てきますが、その背景には多くの場合、「こうしてほしい」という自分の期待と、実際の相手の行動とのズレがあります。人は知らず知らずのうちに相手に対してこうあってほしいという期待を抱いており、その期待どおりにならないと怒りが出てきます。

2-3. 相手にも相手の事情がある

相手にも事情があると考え、関係の深さに応じて期待とのズレをどこまで埋めるべきか見極めましょう。

「生意気な態度が鼻についてイライラする」という場合も、相手には対人関係での不安が強い、厳しい家庭環境で育った、発達障害のため全体のバランスをみることができない、といった事情があるかもしれません。期待とのズレを埋めるほうがよい相手とそうでない相手もあります。

2-4. 「被害者」になるのをやめる

自分は本当に被害者なのかを検証する習慣が、無駄な怒りを手放す助けになります。

怒りは「ひどいことをされた」と思ったときに出てくるものであり、予定が狂ったり心の傷となったりすることは被害者意識のもとになります。怒ってしまったときは、その怒りをどうするかという以前に、そもそも自分は本当に被害者なのかを検証してみると、無駄に怒らずにすむこともあります。

2-5. 怒りと自分自身を分離してみる

「怒りという感情」と「自分自身」を分けて捉えることが、怒りを鎮める第一歩になります。

ADHDの人に対しては、「怒りという感情」と「自分自身」を分離して、「自分は今怒っている」と気づくことの大切さがよく指摘されます。呼吸の乱れや体のほてり・緊張を自覚し、体をリラックスさせる練習を重ねることで、リラックスモードに持っていけるようになっていきます(この「怒りと自分を切り離して客観視する」という考え方は、「『被害者』になるのをやめる」でも触れている視点と共通するため、あわせて参照してください)。

2-6. 怒りの「タネ」をみつけよう

怒りは出来事そのものではなく、出来事への解釈の仕方にタネがあることも多いです。

怒りはもともと、危険や攻撃に対して身を守るための自然な反応です。しかし現代では怒りを爆発させると結果的に自分の居場所がなくなることが多いため、アンガーマネジメントが必要となります。怒っているときには怒る原因があると思いがちで、実際にそうした場合もありますが、怒りをコントロールできない人は、出来事に対する解釈の仕方そのものに怒りのタネがある場合があります。

3. 怒りを鎮め、うまく伝える実践法

3-1. 怒りを大爆発させない応急処置

怒りのサインに気づいたら6秒数える、深呼吸をするなど、その場でできる応急処置があります。

カッと頭に血が上る、突然わきあがる強い怒り――そうした怒りをそれ以上大きくしない、大爆発させないための「最初が勝負」のとっさの対処法があります。怒りに気がついたら6秒数えます。怒りは6秒我慢すると治まるともいわれているので、怒りのサインをキャッチしたら、手を使ったりおでこに手を当てながらまず6秒数えます。

3-2. 相手とのコミュニケーションの仕方

決めつけを手放し、「私」を主語にして要求ではなく依頼として伝えることが、良好な関係につながります。

まず、相手への「決めつけ」はやめましょう。急な仕事でデートをキャンセルされた場合、「自分勝手」「仕事人間」と決めつけてしまうと、申し訳ないと思っている本人もカチンときます。「だいたいいつもあなたは…」と普段の行動に一般化してしまうとケンカになります。

3-3. 伝え方を変えてみる

同じ内容でも言葉の選び方次第で伝わり方は大きく変わり、責める口調を避けることが大切です。

注意やアドバイスをするときは、責める口調にならないよう、ゆっくり穏やかに言うことが大切です。言い方を工夫することで、伝わり方が大きく変わります(「私」を主語にした伝え方の詳しいコツは「相手とのコミュニケーションの仕方」も参照してください)。

3-4. 特性を変えず、やり方を変える

特性そのものを変えるのは難しくても、怒りへの対処のやり方は練習によって変えていくことができます。

怒りの感情自体は自然な反応ですが、爆発させないことが大切であり、怒りに流されない自分になるためあきらめずに取り組んでいきましょう。自分自身の特性を変えるのは難しいですが、無意識のうちに繰り返していたクセややり方は、意識すれば変えることができます。

3-5. アンガーログをつける

怒りや落ち込みを記録する「アンガーログ」は、自分の状態にいち早く気づく力を育てます。

アンガーマネジメントの基本的なやり方は「自分の状況をみつめ、把握すること」であり、怒りすぎる自分を認識する練習です。客観的にみて一歩引いて怒りと自分を分離し、まずは怒っている自分に気づく、「怒りに我を忘れる」状態から抜け出すことが最初は最も難しいですが、慣れてくると自分の状態をいち早くキャッチできるようになります。

3-6. アンガーログを気づきのヒントにする

アンガーログを振り返ることで、怒りのきっかけや自分の思い込みのパターンが見えてきます。

アンガーログからは、怒りのきっかけとなる時間帯・場面・相手や、小さいイライラがたまって爆発するのか馬鹿にされたと感じたときに怒るのかといった行動パターン、そして自分の価値観がわかってきます。自分が当たり前と思っていることや「こうあるべき」と思っている基準が、他人とずれていることも多く、相手に対する期待と自分をしばる思い込みが乖離すると怒りが出やすくなります。

4. 周囲にできること

4-1. 「怒りに巻き込まれない」ための対応

衝動的な怒りには距離を取ってやり過ごし、本人が冷静になってから話し合うことが大切です。

衝動性の強いADHDの人は突然怒り出しますが、治まればケロッとしていることが多いです。「そういう人なんだ」と周囲の人はやり過ごせばよいでしょう。大爆発しているときには嵐が過ぎ去るのを待ち、距離を取ることも大事です。

出典・参考文献

「「怒り」がスーッと消える本」

著者・発行元:水島広子 | 出版社:大和出版 | 発行年:2011

「イライラしない、怒らない ADHDの人のためのアンガーマネジメント」

著者・発行元:高山恵子 | 出版社:講談社 | 発行年:2016

監修:久場禎三(沖縄中央病院 院長・精神科医/ラジオ番組「こころの架け橋」パーソナリティ)