🚪 適応障害・ひきこもり

適応障害・ひきこもりについて

適応障害・ひきこもりに関する記事(全2本)を1ページにまとめました。目次から気になる項目へジャンプできます。

このページでわかること

ストレスにうまく適応できないことで生じる心因性の疾患「適応障害」と、社会参加を避け自宅にとどまり続ける状態像である「ひきこもり」について、それぞれ独立したテーマとして扱います。適応障害は原因・症状・治療法や日常生活での工夫を、ひきこもりは最新の実態調査データや原因・症状、家族の関わり方や相談先までをまとめています。

1. 適応障害について

1-1. 適応障害とは

適応障害は、就職や進学、結婚や離婚などのストレスにうまく適応できないことで生じる心因性の精神疾患です。

適応障害は、日常的なできごとがストレスとなって発症するこころの病気で、心因性の精神疾患です。こころの病気の原因は大きく3つに分けられます。心因は、ストレスや悩み、不安、恐怖など心の状態や環境的な原因によって発症するもので本人の性格も影響し、適応障害はここに含まれます。

1-2. 適応障害の特徴と症状

症状そのものより「原因となるストレスがはっきりしていること」と「回復期間の目安」が大きな特徴で、症状は6つのタイプに分けられます。

症状は様々で、原因と回復期間が特徴です。適応障害では、心や体、行動面に様々な症状が出現し、適応障害に特有の症状はありません。最も大きな特徴としては、症状の原因となったストレスがはっきりしていることで、診断基準にも、適応障害は原因ストレスから3ヶ月以内に発症するとされています。

1-3. 適応障害でみられる具体的な症状

抑うつや不安を中心に、素行の乱れや依存、身体の不調まで、さまざまな症状が現れます。

抑うつは、適応障害の症状としてほとんどの患者さんが訴えるもので、うつ病ほど重くはないことが多いです。原因となるストレスから3ヶ月以内に気分が落ち込み、仕事が手につかないなどの支障が出ます。適応障害は発症の原因となったストレスがはっきりわかりますが、それが解決できないものの場合、何度も思い出して次第に本格的なうつ病になることもあります。

1-4. 適応障害の原因となるストレスと病態

ストレスは脳内の扁桃体や自律神経の働きを通じて心身の反応を引き起こし、喪失体験を含むさまざまな出来事が原因となりえます。

適応障害の原因はストレスですが、ストレスは誰にでもあるもので、生きていく上で必要なものともいえます。ストレスがあってもなんとなく解消されていたり、自力で乗り越えたり対処したりとそれぞれで、ストレスによってこころに影響が及び支障をきたした病気が適応障害です。

1-5. 適応障害になりやすい人の特徴

同じストレスでも発症する人としない人がおり、几帳面で頑張りすぎる人や他人の評価を気にしすぎる人がなりやすい傾向があります。

ストレスによって適応障害は発症しますが、ストレスに耐える力、乗り越える力は人によって異なるため、同じストレスでも発症する人としない人がいます。ストレスがあった時に、適応障害の人に多い考えとして「自分には関係ないと考えないようにする」という答えが多く、一方で適応障害の人に少ないのは「これも経験だと思い、慎重に計画を立てて問題を解決しようとする」傾向です。

1-6. 適応障害の治療

治療は精神療法と薬物療法の2本柱で行われ、ストレスの受け止め方を変えていくことが回復の鍵になります。

診断や治療は、精神科や心療内科で行われます。受診し、問診でいつからどのような症状か、きっかけ、いつ症状が起こるか、以前との違い、自分の性格、これまでの病気、仕事内容、職場環境、家族、ライフイベントなどをしっかり話すとよいでしょう。

1-7. 日常生活の中で自分でできる具体的な方法

規則正しい生活リズムや日光を浴びる習慣、活動と休養のメリハリなど、日常生活の工夫が治療と同じくらい大切です。

病院での治療と同じくらい大事なのは日常生活の過ごし方です。朝起きる、夜寝る、食事するなどの時間をずらさずに規則正しく生活すること、適度に体を動かすようにすることが重要なポイントで、朝起きたあとに太陽の光を浴びることで体内時計をリセットして夜を眠りやすくします。

1-8. 周囲の人の対応

励ますよりも休ませることを優先し、本人を傷つけやすい言葉を避けることが周囲にできる支えになります。

励ますよりも休ませることを優先させましょう。抑うつの症状がある人には心の休養が必要で、本人は「休んでなどいられない」と罪悪感を持つことが多いですが、休養するほうが回復は早いです。適応障害は、原因となるストレスさえなければ回復できる病気であり、軽い抑うつ程度の段階で休養することで重症化せずにすみます。

1-9. 回復に向けて

適応障害は比較的治りやすい病気で、多くの人が回復していきますが、経過を見守りながら悲しみや自責の念に向き合うことも大切です。

回復は新しい自分のスタートであり、薬物療法で症状を抑えながら精神療法を続けるうちに、ほとんどの人は回復していきます。適応障害になったことは一時的な寄り道と考え、この経験を生かす道を考えるとよいでしょう。

出典・参考文献

「新版 適応障害のことがよくわかる本」

著者・発行元:貝谷久宣 | 出版社:講談社 | 発行年:2018

「ストレスと適応障害 つらい時期を乗り越える技術」

著者・発行元:岡田尊司 | 出版社:幻冬舎(幻冬舎新書) | 発行年:2013

2. ひきこもりについて

2-1. ひきこもりとは

ひきこもりは、様々な原因で社会参加を避け6ヶ月以上自宅にとどまり続ける状態で、内閣府の最新調査では全世代で約146万人と推計されています。

ひきこもりとは、様々な原因で社会参加を避け、原則的に6ヶ月以上にわたって自宅にとどまり続けている状態のことをいいます(ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン)。内閣府が2023年3月に公表した2022年度調査『こども・若者の意識と生活に関する調査』では、15〜39歳で2.05%、40〜64歳で2.02%が該当し、全国で約146万人と推計されています。

2-2. ひきこもりの原因やよくみられる症状

ひきこもりは診断名ではなく状態を表す言葉で、原因は多様であり、対人恐怖や不眠、抑うつなどの症状がみられます。

ひきこもりとは、診断名ではなく、不登校や就労での挫折をきっかけに長期間自宅にとどまり続ける人の状態を指す言葉です。「ひきこもり」そのものが必ずしも治療の対象になるわけではありませんが、背景に未治療の統合失調症や発達障害が隠れている場合や、長期化する中で二次的に精神的な不調が生じてくる場合には、専門的な支援が必要になります。

2-3. 不登校との関連

不登校児童生徒数は過去最多の水準が続いており、ひきこもり事例の多くが不登校の経験を伴うことが報告されています。

文部科学省の調査(令和4年度)によると、小中学校における不登校児童生徒数は約29万9千人、高等学校における不登校生徒数は約6万人と、いずれも過去最多の水準となっています。社会的ひきこもりに関する調査を行っている斎藤環氏の報告によると、ひきこもり状態に入っていくきっかけとして不登校が最も多いとされ、ひきこもり事例の90%が不登校を経験しており、そのうち86%は3ヶ月以上にわたる持続的な不登校だったと報告されています。

2-4. ひきこもりにみられることの多い具体的な症状

対人恐怖や強迫症状、不眠と昼夜逆転は、ひきこもり状態でよくみられる代表的な症状です。

もっとも多く見られる精神症状の一つに「対人恐怖症状」があります。限られた相手や状況では対人困難を感じずにふるまうことができる人も少なくありません。ただしひきこもり状況が長引くほど対人関係は乏しくなる傾向があり、ある調査では友人と呼べる相手が一人以下という人が4割強(41%)にのぼる一方、頻繁に連絡を取り合うような親密な友人関係を持つ人は2割強(23%)にとどまったと報告されています。

2-5. ひきこもりにみられることの多い具体的な症状2

家庭内で家族を避ける、退行、家庭内暴力、被害関係念慮、抑うつなど、家庭内での様子にも特徴的な症状が現れます。

家庭内でのひきこもりとして、外に出ないだけでなく、自宅内でも家族を避けて生活することが多く、ほとんど自室から一歩も出ないというケースも多いです。家族との話し相手が限られているか、まったく会話がない事例は60%との報告があります。

2-6. さまざまな精神疾患に伴うひきこもり

統合失調症や自閉スペクトラム症、うつ病など、ひきこもり状態の背景に精神疾患が潜んでいる場合があります。

ひきこもりには精神疾患に伴うものと、精神疾患が原因でないものがあります。ひきこもりを起こしうる精神疾患としては次のようなものが挙げられます。

2-7. ひきこもりとどう向き合うか

叱咤激励は逆効果になりやすく、本人の理由を尋ね、他者からの承認を得られる関わりを探すことが大切です。

周囲はひきこもり状態を否定し、叱咤激励はしがちです。「お説教」「議論」をして「甘えている」「怠けている」という感覚を本人に強く主張してしまう人がいますが、その方法では失敗する可能性が高いです。一方的に抑え込むことや、過度に感情的となって本人の意見を封じてしまうと、その体験が本人にとっての外傷体験となり悪循環に陥ります。

2-8. 日常生活の中で家族が心がけること

まずは挨拶程度の声かけから始め、話題やお小遣いの決め方など、日常のコミュニケーションを工夫することが助けになります。

まずは声かけから始めましょう。ほとんどの事例で家族との会話がきわめて乏しくなっているとされ、長期間口をきいていないケースもありますが、まずは挨拶程度の声かけを交わしましょう。会話で大切なのは一方通行の説教や説得ではなく、言葉のキャッチボールです。

2-9. 相談・治療・社会復帰

沖縄県ひきこもり専門支援センターなどの相談窓口を活用し、症状に応じて医療機関の受診や社会復帰施設の利用を検討します。

沖縄県には「沖縄県ひきこもり専門支援センター」という相談窓口があり、家族が相談したい場合はここに連絡するとよいでしょう。受診につながりやすい症状として、家庭内暴力とともによく家族を困らせる症状に、頻回な確認行為=強迫症状があります。

2-10. 家庭内暴力への対応の基本方針

暴力が深刻な場合は治療者と相談の上で一時的に避難し、定期的な連絡を保ちながら本人が落ち着くのを待つ対応が取られます。

家庭内暴力への対応では、あらかじめ治療者と両親の間で避難の方針をすり合わせておくことが土台になります。目安としては、大きな暴力をきっかけに両親が家を出る場合、その日のうちに避難を終え、同じ日のうちに本人へ連絡を入れます。

出典・参考文献

「ひきこもりの評価・支援に関するガイドライン」

著者・発行元:齊藤万比古(研究代表者) | 出版社:厚生労働科学研究費補助金研究班(国立国際医療研究センター国府台病院) | 発行年:2010

「ひきこもり支援者読本」

著者・発行元:内閣府 子ども若者・子育て施策総合推進室 | 出版社:内閣府 | 発行年:2011

「改訂版 社会的ひきこもり」

著者・発行元:斎藤環 | 出版社:PHP研究所(PHP新書) | 発行年:2020

「こども・若者の意識と生活に関する調査(令和4年度)」

著者・発行元:内閣府 | 出版社:内閣府 | 発行年:2023

「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(令和4年度)」

著者・発行元:文部科学省 | 出版社:文部科学省 | 発行年:2023

「ひきこもりの心理状態への理解と対応」

著者・発行元:斎藤環 | 出版社:内閣府「ひきこもり支援者読本」第1部第1章 | 発行年:2011

監修:久場禎三(沖縄中央病院 院長・精神科医/ラジオ番組「こころの架け橋」パーソナリティ)