🔗 依存症(アルコール・ギャンブル・ゲーム)

依存症(アルコール・ギャンブル・ゲーム)について

依存症(アルコール・ギャンブル・ゲーム)に関する記事(全5本)を1ページにまとめました。目次から気になる項目へジャンプできます。

このページでわかること

アルコール・ギャンブル・ゲームへの依存は、いずれも「自分の意思ではコントロールできなくなる」脳の病気です。対象は異なっても、否認しやすいこと、家族が先に気づくことが多いこと、引き金(トリガー)を避ける生活の工夫や自助グループ・認知行動療法などの治療によって回復を目指せることは共通しています。

1. アルコール依存症

1-1. 基礎知識

アルコール依存症は飲み方を自分でコントロールできなくなる病気で、断酒を中心に解毒期・リハビリ期・アフターケアと段階的な治療が行われます。

アルコール依存症は、お酒の飲み方を自分の意思だけではコントロールできなくなる病気です。飲む時間や量、場面を自分で決められなくなり、生活のなかで飲酒が最優先になってしまいます。「気持ちの持ちよう」でどうにかなるものではなく、その人の意志が弱いから起こるわけでもありません。

1-2. 診断後の心理と回復プロセス

「節酒でよいのでは」という気持ちは自然な反応ですが、脳の変化した依存症は節酒より断酒のほうがやさしく、引き金への対処と断酒後1年間の5段階を知ることが回復の助けになります。

アルコール依存症と診断され、断酒をすすめられると、「そこまでしなくても」「前のようにコントロールして飲めればいい」「節酒のコツを身につけたい」と感じる人が少なくありません。しかし、この病気は自分の意志で飲酒量を管理できなくなる、脳の病気です。

1-3. 適正な飲酒量・お酒との付き合い方

1日の適量はビール500ml程度が目安とされ、酒好きとアルコール依存症の境界はなだらかに移行するため、WHOの6項目の診断基準や飲酒チェックツールが見極めの参考になります。

「市民のためのお酒とアルコール依存症を理解するためのガイドライン」は、厚生労働省の研究班がまとめた市民向けの小冊子で、インターネット上で無料公開されているほか、書籍としても入手できます。お酒に関する基礎知識と、よくある質問への回答というQ&A形式で構成されています。

出典・参考文献

「市民のためのお酒とアルコール依存症を理解するためのガイドライン」

著者・発行元:厚生労働省研究班(障害者対策総合研究事業) | 発行年:2015

「薬物・アルコール依存症からの回復支援ワークブック(SMARPP)」

著者・発行元:松本俊彦・小林桜児・今村扶美 | 出版社:金剛出版 | 発行年:2011

2. ギャンブル依存症

2-1. ギャンブル依存症の実態

国内のギャンブル依存が疑われる人の割合は2017年の0.8%から2020年に2.2%へ増加しており、パチンコ・パチスロが依存の中心となっています。

WHO(世界保健機関)はギャンブル依存を疾病として位置づけています。国内の実態調査では、ギャンブル依存が疑われる人の割合は2017年時点で0.8%だったものが、2020年には2.2%まで上昇しており、この水準は国際的に見ても低くありません。

2-2. 対象となるギャンブルと「好き」との違い

パチンコや公営ギャンブルのほか株取引やガチャも対象となり、「自分をコントロールできるかどうか」が好きと依存の分かれ目です。

パチンコ・パチスロは法律上「遊技」に分類され、ギャンブルそのものとしては扱われていません。しかし実際には、これらの遊技結果に金銭を賭ける形になっており、日本におけるギャンブル依存の多くはパチンコ・パチスロが関わっています。

2-3. ギャンブル依存の特徴と症状

負けを取り戻そうとする深追いや賭け金のエスカレート、家族への嘘などが特徴で、渇望・耐性・コントロール障害といった症状がみられます。

ギャンブル依存に共通してみられる行動として、負けを取り戻そうとして際限なく賭け続けてしまう「深追い」、勝っても引き際を逃してしまうことが挙げられます。もともとギャンブルは仕組み上勝ちにくくできているにもかかわらず、「次こそ取り返せる」という思い込みから抜け出せなくなるのです。

2-4. お金の問題と家族への影響

借金や横領に発展することもあり、家族も経済的な問題や家庭崩壊といった深刻な影響を受けやすくなります。

ギャンブル依存がもたらす弊害のうち、最も深刻なのが金銭面の問題です。何よりもギャンブルを優先するため、嘘をついてまで時間や資金を工面し、借金を重ねてしまいます。家族の預金を無断で使い込んだり、勤務先の資金に手をつけたりするケースも報告されており、本人には罪悪感がありながらも「少し借りているだけ」「勝てば返せる」という考えに流されやすくなります。

2-5. なぜギャンブル依存になるのか

脳内報酬系のドーパミンと前頭前野の機能低下という脳のメカニズムに加え、遺伝や家庭環境などの要因が重なって発症すると考えられています。

ギャンブル依存の背景には、脳の機能に生じる変化があると考えられています。脳内には「報酬系」と呼ばれる神経のネットワークがあり、快感や高揚感を覚えるとドーパミンという神経伝達物質が放出されます。ギャンブルで勝った際にもこの仕組みが働き、脳は「ギャンブルをすれば快感が得られる」と学習してしまいます。

2-6. 回復できるのか、治療の実際

完治はしなくても「回復」は目指せる病気で、9項目中4項目以上の該当で診断され、認知行動療法と引き金を避ける生活が治療の中心になります。

ギャンブル依存は、他の病気のように「完治」という状態には至りにくいとされています。これは、依存によって変化した脳の回路が残り続けるためです。とはいえ、一生治療を受け続けなければならないわけではなく、ギャンブルなしで支障なく生活できる状態を「回復」と呼び、そこを目指すことになります。

2-7. トリガーを避ける生活の工夫

ギャンブルへの渇望を生む「トリガー」を把握して避け、ギャンブルに代わる活動で生活を満たしていくことが回復の要になります。

回復のために欠かせないのが、ギャンブルから物理的・心理的に距離を置くことです。そのカギを握るのが「トリガー(引き金)」の把握です。トリガーは人によって異なり、手元に現金があること、給料日という特定の日付、特定の店の前を通ることなど、さまざまな形をとります。

2-8. ギャンブル依存Q&A

「次は勝てる」という考え方の癖への対処法や還元率の仕組み、借金問題への向き合い方や家族のサポートのポイントを紹介します。

治療中に「次こそ勝てる」「自分なら勝負をコントロールできる」といった考えが浮かんでしまうという相談は少なくありません。これはギャンブル依存に特有の考え方のくせ(認知の歪み)であり、認知行動療法では「その考えに根拠はあるか」「他人に説明して納得してもらえるか」と自問する方法がすすめられています。

出典・参考文献

「ウルトラ図解ギャンブル依存」

著者・発行元:樋口進(監修) | 出版社:法研 | 発行年:2023

「標準的治療プログラム(STEP-G)第2版」

著者・発行元:日本医療研究開発機構(AMED)研究班(作成担当者代表:樋口進) | 発行年:2024

「ギャンブル依存症」

著者・発行元:田中紀子 | 出版社:KADOKAWA | 発行年:2015

3. ゲーム依存症

3-1. ゲーム障害とは

2019年にWHOが「ゲーム障害」を国際的な疾患として認定し、日常生活より優先してしまう状態が12ヶ月続くことが定義とされています。

2019年5月、世界保健機構(WHO)は、テレビゲームやスマートフォンなどのゲームにのめり込みすぎて日常生活に支障をきたす状態を、国際的に「ゲーム障害」という疾患として認めました。同じく5月に改定されたWHOの疾病分類(ICD-11)でも、ギャンブル依存症などと同じ精神疾患に分類され、治療が必要なものと位置づけられています。

3-2. 健康か依存か、どこからが病気か

「自分でやめられるかどうか」が健康と依存の分かれ目で、健康状態と社会生活の両方が崩れていればゲーム依存症の可能性があります。

健康と依存の主な違いは、明らかな問題となる前に「自分でやめられるかどうか」にあります。問題が起こり始めたときに利用のしかたを見直せるのであれば、やりすぎている状態ではあってもまだ健康の範囲といえます。

3-3. なぜ気づきにくいのか

依存に気づくのは多くの場合本人ではなく家族で、否認や現実逃避が背景にあることも少なくありません。

ゲームへの依存に気づくのは、多くの場合本人ではなく家族です。本人と家族の間には認識のズレがあることが多く、家族が「ゲームのために昼夜逆転していて心配」「1日10時間以上もやっていてよくないことをわかっているはずだ」と感じていても、本人は「家族は気にしすぎている」「ゲームは好きだけど依存症ではない」「本当に問題が起こったらやめればいい、いつでもやめられる」と考えていることが少なくありません。

3-4. ゲーム依存症の実態、なりやすい人

現在の定義による推計有病率は5%以内とされ、未成年・男性・友人の少なさなどが危険要因として挙げられています。

ゲーム依存症の患者数については、世界で37の研究をまとめると推計有病率は0.7〜27.5%とばらつきがあり(定義を広くとらえた研究も含まれています)、現在のゲーム依存症の定義に合わせると5%以内であると推計されています。年齢・性別でみると、成人に比べて未成年が、女性に比べて男性がなりやすいことがわかっています。

3-5. スマホゲームが依存しやすい理由

無料開始やガチャなど意図的にやめにくい設計がされており、スマホ利用者の3割がスマホゲームを利用しているという調査もあります。

スマホゲームが手軽になったことで、依存も増えているといわれています。スマホは手軽にでき、いつでもどこでもできて、常にインターネットにつながるオンラインであることが、依存との親和性を高めています。オンラインゲームでは、ゲームを通じて顔の見えないユーザーから称賛されたり、ゲーム内で会話を利用できたりするようになりました。

3-6. セルフチェックと対処法

10項目中5つ以上当てはまれば注意が必要で、プレイ時間を記録する「行動記録表」から始める対処法が効果的です。

ゲーム依存症のセルフチェックとしては、次の10項目のうち5つ以上当てはまるかどうかが目安になります。ゲームをしていないときにゲームのことをよく考える、ゲームがまったくできないとソワソワしたり不安・悲しい気持ちになる、過去1年以内に以前より長時間ゲームをする必要があると感じた、過去1年間にゲームを減らそうとしたがうまくいかなかった、過去1年間に友人と会ったり他の楽しいことよりもゲームを優先した、ゲームによって何らかの問題(宿題、家族・友人との喧嘩、金銭など)が生じているにもかかわらず長時間ゲームをしてしまう、自分がどのくらいゲームをしたかばれないよう家族や友人に嘘をついたことがある、嫌な気持ちを晴らすためにゲームをしたことがある、ゲームのために大切な人間関係を失ったことがある、過去1年間にゲームのために社会生活がうまくいかないことがあった、という項目です。

3-7. 家族の対応

一方的なルールの押しつけや強制的な遮断は逆効果になりやすく、建設的な対話とゲーム時間が減ったときに褒めることが大切です。

家族の対応の基本は、対話です。久里浜医療センターが提唱する「建設的対話法」を参考にすると、①依存によって実際に生じている困りごとを共有する、②ゲームに費やす時間をどう減らしていくか話し合う、③今後どう改善していくか一緒に考える、という順で話を進めるとよいとされています。

出典・参考文献

「スマホゲーム依存症」

著者・発行元:樋口進 | 出版社:内外出版社 | 発行年:2018

「ネット依存・ゲーム依存症がよくわかる本」

著者・発行元:樋口進(監修) | 出版社:講談社 | 発行年:2018

監修:久場禎三(沖縄中央病院 院長・精神科医/ラジオ番組「こころの架け橋」パーソナリティ)